低炭水化物ダイエットとは?

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「低炭水化物」とは、「炭水化物の摂取量を控える」という意味です。炭水化物を全く食べないというわけではありません。
そして、これをダイエットに応用するのが「低炭水化物ダイエット」なのです。
炭水化物とは?
炭水化物は、糖質と食物繊維をあわせた栄養素の名称です。
しかし、一般的には「糖質」のことを指していると思っている方が多いのではないでしょうか。
私たち人間が活動をするためにはエネルギーが必要で、そのエネルギー源となるのが糖質とされています。このため、糖質を含む食材はカロリーが高いものが多く、適切な量を摂らないと活力を得られなくなります。
しかし、一定の摂取量を超えてしまうと、血糖値の上昇スピードが速くなり、脂肪を蓄積しやすい体つまり太りやすい体になってしまうのです。
このことから、炭水化物の摂取量を減らせば、食事全体のカロリーを抑えることができ、脂肪も溜まりにくくなるため、減量できる可能性が高くなるということになります。
「でも、エネルギー源となる炭水化物の摂取量を減らして大丈夫?」と思うかもしれませんね。
しかし、低炭水化物ダイエットは、糖質の代わりに体内に蓄積されている脂肪をエネルギーとして消費されるようにするので、エネルギー源が全くなくなるというわけではないのです。
このように、①炭水化物の摂取量を減らす、②脂肪をエネルギーとして消費する、というこの2点によって減量を目指すのが「低炭水化物ダイエット」なのです。
低炭水化物ダイエットのやり方

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通常の食事に比べて炭水化物を制限するという低炭水化物ダイエットですが、どれくらいの量を目安に食事をすればよいのでしょうか。
ここでは、低炭水化物ダイエットの具体的なやり方について解説していきます。
炭水化物を摂る目安の量はどれくらい?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」によると、炭水化物の摂取量は1日に摂るエネルギー量の50〜65%が良いとされています。
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢等 | 目標量(中央値) | 目標量(中央値) |
1〜17歳 | 50~65(57.5) | 50~65(57.5) |
18〜69歳 | 50~65(57.5) | 50~65(57.5) |
70歳以上 | 50~65(57.5) | 50~65(57.5) |
1日に必要なエネルギーは人それぞれによって異なります。
厚生労働省によると、1日あたりに必要なエネルギー量として、平均的な女性の場合約1,650〜2,300kcalとされています。(BMI目標値:18~49歳で18.5~24.9、50~69歳で20.0~24.9)
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
---|---|---|---|
10-11歳 | 1,850 | 2,100 | 2,350 |
12-14歳 | 2,150 | 2,400 | 2,700 |
15-17歳 | 2,050 | 2,300 | 2,550 |
18-29歳 | 1,650 | 1,950 | 2,200 |
30-49歳 | 1,750 | 2,000 | 2,300 |
50-69歳 | 1,650 | 1,900 | 2,200 |
70歳以上 | 1,500 | 1,750 | 2,000 |
これらの数字から考えると、1,650〜2,300kcalのうちの50〜60%が炭水化物で補われるべきということになります。
それでは、具体的に炭水化物の量にするとどれくらいの量になるのか、計算してみましょう。
1日のエネルギー量が1,650kcalの場合、1,650kcal×57.5%=948.8kcal
炭水化物1gあたりのエネルギー量は4kcalなので、948.8kcal÷4kcal=237.2g
つまり、1日のエネルギー量が1,650kcalの場合、1日あたり237.2gの炭水化物を摂ることが良いということになります。
いくつか目安となる数字をご紹介しておきすので、参考にしてください。
エネルギー量(kcal) | 炭水化物のエネルギー量(kcal) | 炭水化物の摂取目安量(g) |
---|---|---|
1,650 | 948.8 | 237.2 |
1,750 | 1,006.3 | 251.6 |
1,900 | 1,092.5 | 273.1 |
1,950 | 1,121.3 | 280.3 |
2,000 | 1,150 | 287.5 |
2,200 | 1,265 | 316.3 |
2,300 | 1,322.5 | 330.6 |
平均的な女性の1日あたりの必要エネルギー量1,650〜2,300kcalと照らし合わせると、炭水化物の摂取目安量は237.2〜330.6gということになります。
低炭水化物ダイエットを行う場合には、この目安の量よりも炭水化物の摂取量を減らすということになります。
低炭水化物ダイエットのやり方
「通常の炭水化物の量より減らす」といっても、具体的な量に置き換えないとわかりにくいと思いますので、一般的な主食といわれる食材の炭水化物の量をご紹介しましょう。
種類 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
ご飯(1杯140g) | 235kcal | 4.9g | 0.4g | 50.5g |
食パン(1枚80g) | 211kcal | 7.4g | 3.5g | 37.4g |
スパゲティ(1人分ゆで240g) | 396kcal | 13g | 2.2g | 76.8g |
うどん(1人分ゆで260g) | 273kcal | 6.8g | 1g | 56.2g |
中華麺(1人分ゆで240g) | 358kcal | 11.8g | 1.4g | 70.1g |
このように普段、主食として食べている食材の炭水化物の量を見ると、思っていたよりも多く炭水化物が含まれているという印象があるのではないでしょうか。
また、炭水化物はご飯、パン、麺だけではありません。炭水化物を含んでいる食材や食品も存在し、それらも摂取制限の対象になります。たとえば、次のような食材が該当します。
- 根菜類(ごぼう、人参など)
- いも類(じゃがいも、かぼちゃなど)
- 果物(バナナ、プルーンなど)
- 糖質の多い(白砂糖を含む)お菓子(クッキー、チョコレートなど)
食品やお菓子の場合は、成分表に「炭水化物」として配分量が記載されているので、この表記で参考にできます。記載がない場合は「糖質」として表示されているので、確認してみましょう。
何も気にせず1日3食好きなものを食べている方は、普段から目安となる炭水化物の量を上回って食事をしてしまっているという方が多いのではないかと思います。
普段から炭水化物を取りすぎているという方は、ご飯の量を半分にする、1食分だけ炭水化物をセーブする、おかずを変えてみるなど、少しづつ炭水化物を制限していく方法から始めてみましょう。
先に紹介した目安の炭水化物の量に近づけるだけでも、効果が発揮されるでしょう。
低炭水化物ダイエットのメリットと注意点

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人によっては向き不向きもあるので、ここでの解説を参考にしていただき、自分に合っているか考えてから取り組んでもよいでしょう。
低炭水化物ダイエットに向いている人とは?
低炭水化物ダイエットは、「1日3食炭水化物は欠かせないくらい大好きなのだけど、そのせいで太ってしまった」、「血糖値が高く、メタボリックシンドロームになりそう・・・」というような人が減量を目指す場合に向いているダイエット法です。
しかし、普段から運動の習慣がある人や疲れやすい人には、あまり向いていないといえます。運動にはエネルギー源が必要ですし、疲労回復にもエネルギーが必要となるためです。
低炭水化物ダイエットのメリット
血糖値が気になる方は低炭水化物ダイエットを行うことで、血糖値を抑えることが期待できるます。その結果、肥満のもとになるコレステロール値を下げることにもつながるので、メタボリックシンドロームの予防や改善も期待できます。
また炭水化物は、摂取後に血糖値の上昇スピードが速くなる関係で、食べても満腹感を得づらいことがあります。低炭水化物ダイエットでは、そんな炭水化物の摂取量を控えるので、食欲のコントロールもできるようになります。
低炭水化物ダイエットのデメリット
しかし、低炭水化物ダイエットには注意点もあります。
このダイエット中はエネルギー源とする炭水化物を控えることになるので、急に疲れやすくなったり、活力が得られない可能性もあるのです。
このため、最初から一気に炭水化物の量を減らすのではなく、ご飯の量を半分にするなど少しずつ炭水化物量を減らしていく方法を取った方がよいでしょう。
実践して数日間様子を見て、合わないと感じた場合は中止したほうがよいでしょう。
また、ストイックに減量したいからといって、炭水化物を一切摂らないというのは絶対におすすめできません。普段から炭水化物を取りすぎている方は、目安量に近づけるように少しの努力を長く続けることがポイントといえます。
低炭水化物ダイエット中に摂りたいおすすめの食材

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低炭水化物ダイエット中は、糖質の代わりに、たんぱく質や脂質を摂取することが求められます。つまり、たんぱく質と脂質を含む食材を積極的に摂ることが大切となってくるのです。ここでは、低炭水化物ダイエット中に摂りたい食材ご紹介したいと思います。
肉や魚
たんぱく質が豊富な肉や魚は摂取を推奨されています。また、特にこれを食べるべきといった種類は限定もありませんが、次の肉や魚はたんぱく質が特に豊富といわれています(文部科学省提供「食品成分データベース」による100gあたりの成分量を記載しています)。
種類 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
鶏ささみ肉 | 105kcal | 23g | 0.8g | 0g |
鶏胸肉 | 145kcal | 21.3g | 5.9g | 0.1g |
豚もも肉 | 148kcal | 21.5g | 6g | 0.2g |
豚ヒレ肉 | 130kcal | 22.2g | 3.7g | 0.3g |
牛もも肉 | 140kcal | 21.9g | 4.9g | 0.4g |
牛ヒレ肉 | 195kcal | 20.8g | 11.2g | 0.5g |
種類 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
さば | 247kcal | 20.6g | 16.8g | 0.3g |
鮭 | 133kcal | 22.3g | 4.1g | 0.1g |
マグロ | 125kcal | 26.4g | 1.4g | 0.1g |
カツオ | 114kcal | 25.8g | 0.5g | 0.1g |
これらの肉や魚の中には、代謝アップをサポートするビタミンB群や摂っても良い脂肪酸を豊富に含んでいるものもあり、積極的に摂るとよいそうです。
ただし、肉や魚の中でも加工品は糖質が多いので、摂取は控えましょう。
卵
卵もたんぱく質が豊富です。卵100gあたり約13gのたんぱく質が含まれています。脂質は10g、炭水化物量は0.3gとされています。卵は他にも、ビタミンB12、ビタミンA、必須アミノ酸などの良質な栄養素を豊富に含んでおり、代謝アップのサポートをしてくれたり、コレステロール値を低下させる効果も発揮するそうです。
大豆や大豆を原料とする食材
大豆や納豆など大豆を原料とする食材もたんぱく質が豊富なため、摂取が推奨されています。また、コレステロール値を下げる「イソフラボン」も含まれており、ダイエット向け食材として最適です。ただ、炭水化物量もそれなりに含んでいるので、量を調節して摂ることが必要になってきます。たんぱく質が特に豊富な食材は次のとおりです。
種類 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
大豆 | 176kcal | 14.8g | 9.8g | 8.4g |
納豆 | 200kcal | 16.5g | 10g | 12.1g |
また、大豆を原料とする食材や食品を選ぶ際は、砂糖などの糖分を含んでいないかを確認するようにしましょう。
野菜類
野菜の中でも葉物野菜を中心に摂るとよいそうですが、その他の野菜でも炭水化物を多く含んでいなければ、食べることができます。前述した根菜類、いも類は摂取を控えます。たとえば、次の野菜は低炭水化物とされています。
種類 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
ブロッコリー | 33kcal | 4.3g | 0.5g | 5.2g |
きゅうり | 14kcal | 1g | 0.1g | 3g |
キャベツ | 23kcal | 1.3g | 0.2g | 5.2g |
小松菜 | 14kcal | 1.5g | 0.2g | 2.4g |
ほうれん草 | 20kcal | 2.2g | 0.4g | 3.1g |
白菜 | 14kcal | 0.8g | 0.1g | 3.2g |
オクラ | 30kcal | 2.1g | 0.2g | 6.6g |
ピーマン | 22kcal | 0.9g | 0.2g | 5.1g |
大根 | 18kcal | 0.5g | 0.1g | 4.1g |
枝豆 | 135kcal | 11.7g | 6.2g | 8.8g |
これらの野菜の中にはビタミンやミネラルが豊富なものもあり、代謝を上げる効果も期待できます。
海藻類
海藻類はほとんどが水分なので、摂っても問題はないとされています。栄養素ではミネラルを特に多く含んでいます。
種類 | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
わかめ | 11kcal | 0.9g | 0.6g | 3.4g |
もずく | 6kcal | 0.3g | 0.2g | 2g |
低炭水化物ダイエット向けメニューのレシピ

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ここからは、前述でご紹介した食材を使った料理レシピをご紹介します。低炭水化物ダイエット中、食材をどのように調理すればいいかわからない、レパートリーが少ないという人は、ぜひ参考にしてくださいね。
梅大根の豆腐煮込み
豆腐の煮込み料理のレシピです。
たんぱく質が豊富な豆腐、加える具材には大根とねぎがあります。ねぎには脂肪燃焼効果があるといわれています。温めて食べれば、代謝アップも期待できるでしょう。
- 詳しいレシピはこちら:梅大根の豆腐煮込み
枝豆のポタージュ
枝豆はそのまま食べることもできますが、ポタージュにアレンジして摂ることもおすすめです。
その際は、牛乳ではなく豆乳を使うとよいでしょう。豆乳にすれば、たんぱく豆乳にはイソフラボンが含まれており、女性ホルモンと似たような働きをするため、積極的に摂りたい食材でもあります。
- 詳しいレシピはこちら:枝豆のポタージュ
キャベツたっぷりお好み焼き
炭水化物が高めなお好み焼きも、小麦粉を減らしてキャベツを多めすれば、低炭水化物お好み焼きに変わります。
またこのレシピでは、かさ増しに豆腐も使っているので、この点もポイントですね。卵も使うので、高たんぱく質な料理に仕上げることができます。
- 詳しいレシピはこちら:満腹お好み焼き ダイエット中に
鶏ささみと白菜の蒸し料理
鶏ささみと白菜を蒸すだけのシンプル料理です。味付けには黒酢とつゆを使っていますが、ポン酢に変えたりするなど、調味料を変えることで味のバリエーションが広がります。
- 詳しいレシピはこちら:すぐできる!白菜と鶏のささみ蒸し
サバと大根のサラダ
ダイエット食材として人気のサバの水煮缶を使ったサラダレシピです。
サバには「オメガ3脂肪酸」という良質な脂肪酸が含まれ、摂っても太りにくいといわれています。大根と併せて摂れば、血流を良くする効果ももたらすので、代謝アップにもつながるでしょう。レタスも低炭水化物なので、食べても問題ないとされています。
- 詳しいレシピはこちら:血液サラサラ☆鯖の水煮缶&大根サラダ♡
大豆入り玄米ご飯
玄米に大豆を加えたご飯のレシピです。大豆を加えることで、たんぱく質の量を増やすと同時にご飯のかさ増しにもなるので、ご飯の量を減らすことができます。
玄米を炊く際は白米と一緒に炊くことが一般的ですが、玄米だけにしてもよいでしょう。もし白米と一緒に炊いて食べる際は、量を調整して食べることを心掛けましょう。
- 詳しいレシピはこちら:栄養満点☆玄米大豆ご飯
低炭水化物ダイエットは無理のない範囲で挑戦

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いかがでしたか?
炭水化物はご飯だけでなく、他のいろいろな食材に含まれているので、これらの食材の摂取量を減らすというのは、ちょっと覚悟のいることかもしれません。
ただ、血糖値を下げて健康的な体づくりをしつつ減量するには良い方法といえると思います。
とはいえ、炭水化物はエネルギー源となるので最低限の量は摂る必要があります。くれぐれも無理のない範囲で行い、減量を目指すようにしましょう。
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